関西から関東へ 新幹線の多目的室を利用した引越し移動支援
関西にお住まいのO様の関東へのお引越し移動を支援させていただきました。ご自宅にお迎えにあがり、介護タクシーと新幹線を使っての移動となりました。

娘様から事前に「母は色々と迷ったり後悔したりすることが多い」と伺っており、その通り、車内で食べるお弁当選びや座席選びに悩まれていました。


多目的室の利用についてもご心配されていましたが、慣れない場所での不安は当然のことです。
多目的室の仕様やご希望の変更時の対応方法を一つひとつ丁寧に説明することで、安心していただけました。
悩んだ末に選ばれたお弁当も楽しんで召し上がり、完食されました。

不安な気持ちを抱えつつも、新幹線の車窓から富士山を見ることを楽しみにされていました。

当日の手配になりましたが、新幹線の多目的室の利用が可能となり、多目的室の窓からも富士山が見える方角であることを確認し、通過時間も確認して準備はバッチリでしたが、残念ながら富士山は雲に覆われて見えませんでした。とても残念がっておられました。
「富士山を見られる最後のチャンスだったから どうしても見たかった…」
その一言を聞いて、スタッフは「今日は見られなくてよかった」とも思いました。 これが最後ではなく、これからもっと元気になって、富士山を見に行く日が来るはずだからです。

お引越しの移動支援は、片道だけの同行となるため、比較的短い時間のサポートですが、その中には深い想いが込められています。
住み慣れた場所を離れ、お子様が住む地域への引越しには、安心と不安、そしてご家族それぞれの深い想いがあると感じます。
今回も、迎え入れる娘様がお母様を心配されている様子が伝わってきました。そのため娘様にこまめに報告を入れながら移動しました。

お母様の迷いや後悔の裏には、「周りに迷惑をかけていないか」「迷惑をかけてしまうのではないか」という優しいお気持ちがあるように感じます。
親子がお互いを思いやる気持ちを感じた移動支援でした。

「次回は、富士山を見る旅行にご一緒するのもいいですね」と前向きなお話もできました。
今回見られなかった富士山を目指して、新生活やリハビリを頑張る活力になれば嬉しいです。
今回のサポートにおける専門的アセスメント(振り返り)
- 心理的葛藤と不安に対する精神的ケア(メンタルサポート):住み慣れた土地を離れる転居に際し、事前情報の通り「後悔」や「不安」といったネガティブな感情の表出が見受けられました。私たちは、ご本人様の言葉を否定せず傾聴(アクティブリスニング)し、一つ一つの不安要素に対して丁寧に具体的な説明を行うことで、安心感の醸成に努めました。結果として、道中では笑顔も多く見られるようになり、精神的な安定(心理的安寧)を保った状態での移送を実現しました。
- 動く車内環境における杖歩行の安全性確保:新幹線内のトイレ利用など、揺れのある不安定な環境下での杖歩行をサポートしました。残存している歩行機能を最大限に活かしつつ、急な揺れや転倒リスクを予測した近接見守りと適宜の介助を行うことで、自立性を損なわない形での移動安全性を担保しました。ADL(日常生活動作)の維持とリスク管理を高い次元で両立させています。
- 多目的室を活用した「対話と休息」の環境構築:新幹線の多目的室を、単なる臥床(横になる)のための場所としてだけでなく、周囲の視線を遮り、落ち着いて対話ができる「心理的プライベート空間」として活用しました。景色を楽しみながらスタッフと対話を重ねることで、転居に伴うストレスを緩和し、目的地へ向かう意欲(ポジティブな予期)へと繋げる環境設定を行いました。
- 自己決定権の尊重と新たな環境への適応支援:「お世話になる施設へのお土産を自分で購入したい」というご希望に対し、金銭管理を含めた買い物のプロセスを全面的にサポートしました。自らの意思で準備を整える「主体的行動」を支えることは、転居後の施設生活における自己肯定感の向上に繋がります。ご家族様とのこまめな連携も含め、スムーズな環境移行(トランジション)を多角的に支援しました。
新幹線の多目的室を利用した移動支援をご検討の方は、転院転居付き添いサービスをご覧ください。