大阪から長野と富山へ

電車とバスを乗り継いての3泊4日のT様のご旅行に同行させていただきました。

移動は多く時間も長いですが、公共交通機関を使っての旅行。
駅での移動には車椅子をお借りすることもありましたが、歩行時はしっかり歩いておられます。
90歳を超え、このようにお元気に旅を楽しまれることはなかなか稀なことです。

ご入居の施設からは早朝出発で、まずは名古屋へ向かいました。
名古屋からは長距離のバス移動を2本乗り継ぎます。

長野県の山に囲まれた静かな町。初日はここで1泊。
どんな理由でここを選ばれたのかなと思っていたら、先祖様がおられた地域なのだとか。
それもこの地域では有名な方で、今でも地域には同じ苗字の方が多く、地名にもそのお名前がついているぐらいです。資料館に銅像があり「あれがうちのご先祖」と言われた時にはびっくりしました。この旅行が、そんなに壮大な目的の旅行だったなんて。

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藪を掻き分け山へ登って行かれたのにもまた驚かされました。
「この先に先祖のお墓があるはず」と。
行きたいという思いの強さを感じた瞬間です。
普通なら止めるような状況かと思います。しかしこれが良縁というものなのか、スタッフは仕事で山のガイドをすることもあるのです。時には先に立って行く手を確認したり、時には手を繋いで誘導したり。安全第一でゆっくり歩みを進め、目的のお墓に無事到着できた時には私も感動しました。

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個人的なことを根掘り葉掘り聞くのは失礼かと思い、あまりこちらから聞くことは控えていますが、旅行のように一緒にいる時間が長いと、自然と色々なお話をしてくださるものです。
少しずつお伺いする色んな情報が、段々と線で繋がってくるのは面白いものです。

初日から大冒険の1日でした。

2日目はまたバスと電車を乗り継ぎ、富山に向かいます。
こちらの方面では、まだまだバリアフリー化されていない駅もたくさんあります。乗り換えの駅を変更したり駅員さんの手を借りたり、都会とは勝手の違うことだらけです。沢山の方のサポートを受けながら、目的地の富山にも無事到着しました。

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夕食はご希望により、地元の海鮮を楽しめる居酒屋で。美味しいお刺身とお酒も楽しまれ、素敵な笑顔が続きました。

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3日は、富山の「雨晴海岸」へ。
T様は普段、趣味で絵を描いておられるので、ここではゆっくり時間をとって海辺でのスケッチ。
周りの観光客からも「おぉーっ!凄く上手いっ!!」と声が上がります。
「もし描けたら…と思って、スケッチブックを持ってきた」とおっしゃっていたので、夢が叶い、「今日はもうこれだけで満足」とご満悦です。ご自宅では油絵を描かれるのだそう。スケッチをもとに油絵を描いていかれるそうなので、ご旅行が終わった後も楽しみが続くのって素敵です。

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最後となる3泊目の宿泊は、海岸近くの温泉旅館に泊まりました。
建物のバリアフリー化もおもてなしも素晴らしい旅館でした。海が見える景色も最高で、旅館から美しい日没も日の出も拝むことができました。お天気に恵まれたのも最高でした。

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ゆったりとくつろぎ、温泉には夜だけでなく、しっかりと朝風呂まで楽しんで、4日目は帰路につきました。

ご旅行の前半、「もうこうやって旅行に来られるのも最後かもしれないし…」とおっしゃっていましたが、後半には「もし行けたら、来年は〇〇に行きたいな」とのお言葉が聞けました。
これが最後かも…このお仕事をさせていただいていてよく聞く言葉ですが、全然そうは思えないほど元気だったりします。「絶対また行けますよ。来年も、再来年も!!」そういうと皆様笑われます。
実際にまた行かれるかどうかは別として…もう最後かもとの決意で臨まれたご旅行に、縁があってご一緒させていただけることは嬉しいですし、ご一緒した旅行がまた次への意欲に繋がっていることは物凄く嬉しく、この仕事をしていて最高の瞬間です。

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今回のご旅行、T様は耳が聞こえづらく「コミュニケーションは筆談が中心」と事前情報でお伺いしていました。うまくコミュニケーションが取れるかが気になるところでしたが、筆談やアプリ、口頭での声掛けを状況によって使い分けることで、しっかりとお伝えしながら旅行をサポートすることができました。
心配が嘘のように、夕食時にはお酒も手伝ってか会話は盛り上がり、手話を教えていただいたのもまた盛り上がりました。

「来年行くときはまたお願いしたい。あなたとはちゃんと会話が楽しめるから」そう言っていただけたのが本当に嬉しいです。

何を使うか…は問題ではなく、「伝えたい」「聞きたい」という気持ちが大切だと。
大切なことを再認識させていただき、スタッフにとっても忘れられない大切な旅行となりました。

また来年のご旅行を楽しみにしています。