90代男性と東北へ3泊4日|高齢者の介護旅行事例

90代男性T様と、東北へ3泊4日の介護旅行に同行させていただきました。

去年の春に旅行サポートでご一緒させていただいたT様。
お元気な90代の男性ですが、耳に不自由がありました。

筆談やアプリ、身振り手振りを使いながら、3泊4日という長い時間を共に過ごす中で、
「ちゃんとコミュニケーションが取れるだろうか」正直、出発前はそんな不安がありました。

それでも、状況に応じて伝え方を工夫しながら旅を続け、最後にいただいた言葉が
「来年行くときも、またお願いしたい。あなたとは会話が楽しめるから」
この一言は、今でもスタッフの心に残っています。

「Tさん、元気にされているかな…」
ふとそんなことを思い出していた頃、一本の連絡が入りました。

今年も、また旅行に行きたいと。
あの「またお願いしたい」が、本当に実現した瞬間でした。

今回の行き先は東北。日数は去年と同じで3泊4日の長旅です。
久しぶりの再会でしたが、お変わりなくお元気そうで、今回も終始穏やかで楽しいご旅行でした。

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去年の旅行で教えていただいた簡単な手話。
この1年で、少しだけですが覚えていました。

それを使って声をかけると、
「あ、覚えてくれてる」というような、嬉しそうな表情を見せてくださったのが印象的でした。

完璧な手話ではありません。
でも「伝えよう」「分かり合おう」とする姿勢があれば、会話はちゃんと成り立つ。
そのことを、改めて実感した旅でもありました。

ある日、電車を乗り継いで向かったのは福島県の猪苗代。
この日の目的地は「野口英世記念館」でした。

記念館へ向かうバスは、1時間に1本あるかないかの不便な地。
雪が降る中、時間を見ながら移動し、無事に到着しました。

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この記念館には、別館のような形で、野口英世の生家が残されています。
あの有名な囲炉裏を目の前にすると、教科書の中の人物が、急に「生きていた人」として感じられました。

野口英世については、小学生の頃に伝記を読みました。
幼い頃に大怪我を負いながらも、勉学に励み、医師として大きな功績を残した人物。
当時は、そんな物語に心を打たれた記憶があります。

でも、大人になり、自分が親になった今、改めて胸を打たれたのは、母・シカさんの存在でした。
「手が不自由で農作業ができないから」と、息子に勉強の道を勧め、そのために懸命に働き続けた母の愛と努力。

親にとっても、子にとっても…今とはまったく違う時代背景の中で、それは決して並大抵のことではなかったはずです。
偏見やいじめが当たり前のように存在した時代。障害を持って生きることが、どれほど大変だったのか。
展示を見ながら、そんなことを考えさせられました。

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T様も、耳が不自由なことで、これまでたくさんの辛い思いや、しんどい経験をされてきたそうです。
そんなお話を聞いていると、思わず涙が出そうになる時間もありました。

旅する中で聞く人生の話。観光だけではない、心に深く残るひととき。
そんな時間もあった、今回の旅でした。

T様はお酒が大好きで、外食も旅の楽しみのひとつとなっています。
ところが最終日の夜に入ったお店は、少し残念な雰囲気…。

思い切って「お店、変えましょうか?」と提案すると、すぐに笑顔でOK。

2件目に入ったお店は大当たりで、
お酒も会話も弾み、結果的にその夜はとても良い思い出になりました。
旅のハプニングも、良い思い出です。

旅の終わりに、またこう言ってくださいました。

「また来年も一緒に旅行したい」
「自分がまだ元気やったら…やけどね」

この仕事をしていて、これ以上に嬉しい言葉はありません。

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また一緒に行けると信じています。
次の旅を楽しみにしながら、それまでにもう少し手話の勉強をしようと思います。

今回のサポートにおける専門的アセスメント(振り返り)

  • 長距離移動時の体力管理について
    今回のご旅行は、大阪から岩手~宮城~福島県~東京へと新幹線・在来線・路線バス・タクシーを組み合わせた4日間におよぶ長距離移動の旅となりました。
    昨年と比較して大きなADLの変化は見られませんでしたが易疲労性があった為、レンタル可能な場所ではなるべく車いすを使用するなどして、お身体への負担軽減に努めました。
  • コミュニケーション支援について
    耳に不自由があるため、筆談やアプリ、身振り手振り、簡単な手話などを組み合わせながら意思疎通を図りました。
    聴覚障害のある/なしに関わらず、ご旅行では移動や食事、観光など様々な場面でご利用者様と付き添いスタッフとの意思確認が必要となります。
    そのため、お一人おひとりに合ったコミュニケーション方法を見つけ、安心して過ごしていただける関係づくりが欠かせません。
    今回は、昨年ご一緒させていただいたときに学んだコミュニケーション方法も活用することで、より自然なやり取りにつながりました。
    その方に合わせて「伝える」方法を工夫し続けること、そして何より「伝えよう」「分かり合おう」とする姿勢があれば、会話は十分に成り立つことを改めて実感した旅となりました。
  • 排泄面に配慮した行程管理について
    ご旅行中は、移動手段や立ち寄り先ごとのトイレ環境も確認しながら行程を進めました。
    特に路線バスや在来線列車での移動中は、すぐにトイレへ行けない場合もあるため、乗車前のトイレ利用や休憩のタイミングなどに配慮しています。
    介護旅行では、安心して観光や移動を楽しんでいただくために、目的地だけでなくその間の移動環境にも目を向けて、ご本人様のご様子や状況に応じて柔軟に対応できるよう心がけています。
  • ご本人様のご希望を踏まえた行程づくりについて
    今回のご旅行では、ご本人様ご自身が行きたい場所や移動経路について事前によく調べられており、旅への強い思いをお持ちでした。そのため、ご希望の行き先や移動手段を一つひとつ確認しながら、体力面や移動時間、乗り換えの負担なども考慮して行程を調整しました。
    長距離移動を伴う比較的ハードな行程ではありましたが、ご本人様の「行きたい」というお気持ちと、安全に旅行を楽しんでいただくための現実的な行程とのバランスを取りながら計画を組み立てました。
  • ご旅行全体を通して
    今回のご旅行では、温泉や観光、お食事、お買い物、お墓参りなどを通して、東北と東京での時間を楽しまれました。
    長距離移動に加え、雪道での歩行や路線バスの利用、複数回の乗り換えなど身体的な負担も少なくない行程でしたが、ご本人様の体調やご様子を確認しながら、その都度コミュニケーションを図りつつ進めることで、大きな怪我や体調不良なく4日間を終えることができました。
    旅の最後には「また来年も一緒に旅行したい」とのお言葉もいただき、今回のご旅行がご本人様の心に残る時間となっていましたら幸いです。

移動やコミュニケーションに不安がある方とのご旅行をご検討の方は、介護旅行の付き添いサービスをご覧ください。